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映画についてしゃべくります。

FENCES

邦題「フェンス」(2016) 監督: デンゼル・ワシントン 主演: デンゼル・ワシントンヴィオラ・デイヴィス

 

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原作はオーガストウィルソンの戯曲『Fences』(1983) これを舞台版で演じたデンゼルワシントンが演劇の世界的賞・トニー賞主演男優賞を見事獲得。そして自らがメガホンを取り監督&主演としての映画化へと踏み込んだ。

 

そして先日行われた第89回アカデミー賞こちらも見事助演女優賞を獲得したヴィオラデイヴィス。第23回SAG Awards(俳優組合賞)でも両者ともに主演男優賞助演女優賞を受賞している。

 

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 時は1950年代。アメリカのピッツバーグ

トロイと妻ローズはアメフト選手を目指す息子と暮らしていた。ある時息子の夢をめぐり激しい言い合いの末、父と息子は疎遠に。さらに追い討ちをかけるようにある事をきっかけにローズとの間にも深い亀裂が生じてしまう。父親としての威厳、母親の葛藤。さまざまな感情が渦巻き、ラストには何とも言えない感動が生まれる。

 

まずは序盤。デンゼルワシントンのマシンガントークに注目。始めの30分はほぼデンゼルの一人芝居。しかもずっと喋りっぱなし…ここで「あ、無理かも」って思う人もいるだろうけどデンゼルの入り込んだ演技に圧倒されます。

※ホントにずーーーっと喋ってる(笑)

 

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そして物語が始まって40分程度でやっとこのデンゼル演じるトロイの頑固ぶりとマジでクソ野郎な一面がじわじわと見え始める。

自分の過去の失敗から息子の夢に聞く耳すら立てず諦めろと言うトロイ。価値観の違う者には何の興味も示さない。自ら息子たちを突き放し、夢を追いかけるな、職に就けとひたすらに現実を教え込む。

とにかく超が付くほどの頑固野郎でプライドの高い亭主関白な父親だなと感じました。でもこれがまたどこにでもいそうな父親なんだわ…ここまでではないけど自分の家庭とも重なって身近に感じてさらに僕は共感できました。

 

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そして中盤。トロイがある重大な出来事をローズに伝える。今日本でも流行りの○○ってやつ。そこからのヴィオラデイヴィスの演技が本当に凄い。涙流して鼻水垂らしながら顔ぐちゃぐちゃになりながらのあの演技。いやぁ圧巻圧巻。本物にしか見えなかった…これがオスカー女優の演技かと実感しやした。

 

終盤では、ネタバレしちゃうと、、トロイが死にます。ほんでその葬式で一家がまた再集合するんだけどそこからが結構くる…(笑)涙腺が…トロイと別の女との間に生まれたレイネルちゃんがめちゃくちゃ可愛い!人懐っこくてすぐにお兄さんを受け入れてあげて…でもまだこの子は真実を知らないんだろうな、、って思うとなおさら悲しくなったり。そしてトロイの兄ガブリエルの吹いたトランペットが最後に小さな奇跡を起こします。

 

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このラストの終わり方も好き!

とにかく本当に素晴らしい作品でした。なんでこんな良作を上映しないのかが分からない。日本の映画市場は邦題問題とかも含めてホントにどうかしてるぜ!139分と長尺ながらも長さを全く感じさせない脚本とキャストの演技力で最後まで持ってかれた。ひたすらリアルでどの家庭にも共通するテーマがあるから観やすくて良かった。

観る価値あり!傑作。是非是非DVDで!!!

 

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